レポートTOKYO池袋教室 実地2「正丸峠・伊豆ヶ岳」楽な登り方、安全な下り方

スタート&ゴールの西武秩父線正丸駅。休日の朝は電車が着くたびに多数のハイカーでごった返す。

昨日の三浦アルプスに続いて、今日はTOKYO池袋教室の実地講習です。三浦アルプスが標高180m程度なのに対して、今日の最高峰は851mの伊豆ヶ岳ですから、標高約300mの正丸駅からでも500m以上も登らなくちゃいけません。講習会のテーマ「楽な登り方と安全な下り方」のテクニックをしっかり学んで、楽しく登りたいと思います。

参加者が全員揃ったところで、いつものように地図を見ながらコースの確認。靴ひものチェックや体操を手早くすませて出発です。はじめは沢沿いの車道の坂を登ります。道を歩きながら早速「今歩いているのは川のどっち側?」と山仙人こと小日向先生。みなさん質問の意味がよくわからなかったのか「・・・」。「今は川の左側をさかのぼって歩いていますが、川のどちらの岸かを言い表すには自分の向きに関係なく、川の流れの向き、つまり川の下流に向かって右岸、左岸と言います。だから、今は川を右手に見て登っていますが、左岸ではなく右岸と言うんですね」と、頭がこんがらがってしまいそうな知識も歩きながら楽しく学びます。周囲の樹木や草花も、時々立ち止まっては名前を教わります。しばらく歩いて同じ花を見つけると「これは何だっけ?」とテストもあったりして。小学生の野外学習を思い出しました。でも、こういう何気ないやりとりは、単調な山道歩きを飽きさせないテクニックでもあるんです。

駅を出ていきなり階段を下り線路をくぐって山へ向かいます。

赤い葉は春もみじです。紅葉は秋だけじゃなかったんですね。またひとつ勉強。

ウガン? サガン?とつぶやきながら川沿いの車道を歩きます。いつの間にか陽が出て紫外線にさらされました。

道ばたの花の色が美しく、つい足が止まります。

オダマキの花でした。

いつの間にか車道から山道に入り、少し歩きにくい箇所や傾斜の強い坂が現れてペースが乱れます。そこで、山仙人・小日向先生の楽な登り方講座のはじまりです。わかってしまえば、場所がどこであっても不変の鉄則みたいなコツがあって、あとは応用みたいなことですが、ふだん意外に意識せずになんとなく歩いてしまっていることに気づきます。あらためてポイントに分けて教わると無意識だったことが意識できるようになり、それが次に意識しなくなった時にはマスターできているということかもしれません。

大きな段差を越えて行くには体を前に倒して前足にしっかり重心を移動させます。

さっそく山仙人の実演を真似してみながら少しずつ体で覚えていきます。

いつしか深い森の中へグイグイと高さを稼いでいきました。

いたるところで見られるマムシグサは左右対称に広がる枝葉と花の形がかなり特徴的ですぐ覚えます。

深い植林の林を登るうち少し頭上が明るくなって来たと思ったら、目の前に胸を突くような急坂が現れます。見上げると上部にガードレールと崖っぷちに建てられた峠の茶屋がありました。さきほど教わったばかりの疲れない体重移動の登り方で一歩一歩登り詰めると旧正丸峠に出ます。かつては秩父への通過点でしたが、1982年からは正丸トンネルで峠を通らず秩父へ行けるようになり、観光で訪れる車か、あえて峠道を楽しみに来るバイクや自転車などがやってくるだけです。それでも、峠の茶屋「奥村茶屋」は峠からの眺望を楽しみに来る客でにぎわっています。ここで、しばしモヤにかすんだ飯能や所沢の遠景をながめて小休止。水分補給をすませると伊豆ヶ岳への稜線へと向かいます。ここは「関東ふれあいの道」の一部として道が整備されています。さほどのアップダウンもないので快適に距離を稼ぎ、いつしか伊豆ヶ岳への難関、「男坂」の鎖場が現れました。巻き道もあったようですが、果敢に岩場に挑戦。無事登りきってしばらく岩稜を歩き続けると頂上広場に出たのでした。岩場の荒々しさに比べるとウソのようなのどかな頂上周辺の様子に緊張も解けていきます。

山女子クラブが昭和テイストというわけではないのですが…昭和天皇はここにも行幸されたようです。

伊豆ヶ岳までの中間点「小高山」。標高は720mです。

標高が上がり、ミズナラやブナの林になると西側の樹間から秩父のシンボルとも言える武甲山も姿を見せました。

ちょっと急な下り坂が出て来たところで「安全な下り方」のワザを伝授。

最後の登りに備えてアミノバイタル・パーフェクトエネルギーでパワーをチャージ。

今度は急で段差もある登り坂に備えてトレッキングポールを準備します。

トレッキングポールで登るのもここまで。いよいよ最後の難関が現れました。

男坂のワイルドな鎖場。よほど緊張したのか翌日は筋肉痛になりました。

木洩れ陽が気持ちいい伊豆ヶ岳の山頂園地。みんな思い思いの場所でお弁当をひろげていました。

さきほどの険しい岩場が夢だったかのように広々としていてどこが頂上なのかよくわかりません。南に寄った位置に頂上を示す大きな標識があり、さらにその先の岩の上に石の頂上標識がありました。今日の目的地でもあり最高到達点でもある851mの標識を入れてしっかり記念写真を撮ったら、ちょっとした達成感です。それから40分くらい、アスザックフーズさんのスープを入れてゆっくりランチを食べて休憩しました。

頂上ではみなさん余裕の笑顔です。

たくさんの人たちがこのあたりでお昼休みをしていますが、困ったことにここにはトイレがありません。食事をすませたら長居は無用です。山仙人・小日向先生の「じゃ、そろそろ行こうか」という合図で手早く出発の準備を整え腰をあげました。今登って来た道を引き返し、岩場を避けて女坂をくだります。鎖場などはないものの、傾斜が急な下り坂が続くので注意が必要です。教えられたようにトレッキングポールを試しながら慎重に下りました。正丸駅に下るルートはさきほど小休止した五輪山のあたりから分かれるルートと小高山の南側から分かれるルートがあります。どちらもわかりやすい道標が立っているので間違えることはないでしょう。

尾根上には踏み跡も多いので案内表示はたくさんありました。

五輪山からの下山路は道標に「危険」と書かれ悪路であることが伺えます。素直に道標に従って小高山手前まで戻り、安全な「かめ岩」ルートを下りました。馬頭尊と呼ばれる小さな祠の分岐まで一気に400mほどの下りですが、ここでも山仙人から伝授された安全な下り方を駆使して、みなさん驚くようなハイペースで下ってしまいました。馬頭尊から車道に出てあとはのんびり駅まで、心地よい疲労感を噛み締めながら歩きました。

かめ岩への急な下り。トレッキングポール無しではヒザを傷めそう。

馬頭尊まであとわずかです。でも気を抜かずに一歩一歩。

馬頭尊の分岐。ここまで来ればあとはダラダラの車道歩き。

正丸駅に到着してトイレを済ませたあと、駅前の売店にある休憩所でビールやコーラで無事下山の祝杯をあげました。電車の時間まで小日向先生の山の写真を見せていただいたり、話を聞いたり。少人数ならではの山歩きで楽しい一日となりました。小日向先生の写真はこのサイトにもギャラリーがあります。どうそご覧ください。

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