Q&Aコーナー「山のお悩みなんでも相談室」〈第6回〉

「富士山は空気が薄いって本当?」

山にまつわる疑問、お悩み、道具や技術のこと…なんでもお答えします。
『山仙人』こと
プロガイドの小日向 孝夫 講師がお答えするQ&Aコーナーです。

ご質問・ご相談募集中! こちらの投稿フォームからたくさんの投稿お待ちしています。

<相談21>埼玉県 渡辺 圭子さん 57歳 主婦
Q.富士山は空気が薄いといいますが、実際にどんな影響がありますか? 対処法はあるのでしょうか。効果的な呼吸法や歩き方などあったら教えてください。

<小日向のお答え>
A.空気が薄いというのは、富士山だけではありません。3000mを超えると、皆様が多く住んでいらっしゃる0m地帯より4分の1薄くなると言われています。ということは、皆様の命を支えている酸素も4分の3しかなくなるということです。
これは高度が高くなればなるほど、薄くなり8000mでは4分の1しかなくなると言われています
私はかつて、ハワイのマウナケアという4200mの山に2月にスキーをしに行ったことがります。その時は、コナという0mの街から、4WDの車でいきなり頂上まで登りました。スキーを履くのに、平地を雪のある所まで100m歩くのですが、なんと、歩けませんでした。
スキーガイドの指示で、1時間ぐらいじっとして
水分を摂り、深呼吸を大きくして小型のボンベから酸素を吸わせてもらったら、やっと動けるようになりました。
最初は頭とお腹が痛くなり、手の指先がしびれて
ましたが、それも、無くなりました。スキーを履いて標高差200m、1km位を滑り、また4WDに上げてもらうという行為を何度かすると何ともなくなりました。つまり、これが高度順応だったのです。
人間はその体の全身に血液が流れていますが、血液の中にある何億個ものヘモグロビンが肺で酸素をもらい、心臓から体中に流れて行き、毛細血管から細胞にまで酸素を配っています。
酸素が少なくなると、毛細血管の先から影響が出ます。それが脳と臓器、指先、足先です。その結果として、頭痛がして、気持ちが悪くなり、指先足先がしびれるという症状が出ます。これが高山病です。
ただ、人間には順応力があります。脳に酸素が少なくなったことを認識すると脊椎にある組織に命令して、直ちにヘモグロビンの製造を始めるわけです。五合目に着いてもすぐに登らずに、時間をかけて準備をして、登り方ゆっくりと時間をかけて登らなければいけないのです。つまり、ヘモグロビンが増えるのを待つわけです。
歩き方はとてもゆっくり時間をかける。
空気をたくさん取り入れるために、腹式呼吸をするという方法が一般的です。息を大きくするわけですが、いくら空気を吸おうとしてもなかなか、吸えないので、息を大きく吐くのがいいと言われています。肺の中の空気を全部吐き切れば、空気は自然と入ってきます。これが腹式呼吸です。
もうひとつ、覚えておいて下さい。山小屋に着いたら、いくら疲れていても、すぐには寝ないで下さい。できれば次の日の準備のために、100mでもいいので小屋の上を偵察して下さい。遅れている仲間を元気付けに少し下へ降りて行くのもいいです。そのようにして、少しでも高度順応をするのです。
もうひとつ、往きの五合目へのバスの中で
は寝ないで下さい。理由は眠ると呼吸の数が少なくなってしまうからです。

<相談22>東京都 佐藤 道子さん 50歳 会社員
Q.富士山のツアー募集をいろいろ見ていても、登山経験が必要とは書いてありません。登山用具もレンタルできて、まったく登山したことがなくても参加できるようですが、それで本当に頂上まで登れるか判断できません。大丈夫でしょうか?

<小日向のお答え>
A.たしかに、富士山は北アルプスのように、手を使わなくては登れないような岩場はあまりないので、体力があれば登山経験がなくても登れないことはありません。登山用具もレンタルが有るので用具の心配も少ないです。ところが富士山の平均登頂率(頂上まで1回で登れる確率 )は75%と言われています。
登れない原因は、高山病と体力不足、悪天候がほとんどです。高山病についてはQ21をご覧ください。体力は毎週のようにハイキングに行く人や毎日ジョギングをしている人は問題ありませんが、ふだん運動をほとんどしない人は無理だと思います。
悪天候については、富士山は標高が高いので夏でも夜中は摂氏4〜8度くらいしかありません。風が吹くと風速1mで1度ずつ体感温度が下がります。ですから、御来光を頂上で見たいと思う人はカッパの上下、フリース、軍手ではない手袋、耳が隠れる帽子、水は1人2㍑、下着の替えがないと危険です。

 <相談23>神奈川県 安井 めぐみさん 38歳 会社員
 Q.山登りがブームのようになっているのは、日本だけですか? それとも世界的な流れなのですか?

<小日向のお答え>
A.日本では、山登りは昔の方がブームでした。1970年代前半は登山人口が1800万人以上いましたが、現在は600万人くらいです。ただ、登山用具も性能が良くなり、軽くて便利になっている。デザインも良くなり、普段使いも出来るものが多くなった。生活に余裕が出来て、健康に興味が出てきたなどの理由により、10数年前よりは10%ぐらい増えているようです。これは世界的な傾向です。韓国や中国などはかなりのブームなようです。アメリカやヨーロッパの人達は、もともとアウトドアライフは大好きですから、あまり変化はないようです。


 

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