Q&Aコーナー「山のお悩みなんでも相談室」〈第7回〉

「なぜプリンスルート?」

山にまつわる疑問、お悩み、道具や技術のこと…なんでもお答えします。
『山仙人』こと
プロガイドの小日向 孝夫 講師がお答えするQ&Aコーナーです。

ご質問・ご相談募集中! こちらの投稿フォームからたくさんの投稿お待ちしています。

<相談24>東京都 若杉 こずえさん 48歳 主婦
Q.富士山に登るにはプリンスルートがいいと、最近よく目にします。プリンスルートのメリット、デメリットを教えてください。

<小日向のお答え>
A.プリンスルートとは、富士山の4本の登山道(吉田口、須走口、御殿場口、富士宮口)のうちの標高が一番高い2,400mの富士宮口から6合目を経て、江戸時代に大噴火をした宝永火口に少し降り、その噴火口の横を登って御殿場口の6合目に出るルートです。これは、もともとあった道ですが、山好きで知られる皇太子殿下が、いちばん空いている道から登りたいとして登られてからは、プリンスルートと名前が付いたのです。

このルートのメリットは空いていることです。つまり知られていないことです。夏の7月から8月の金曜と土曜の夜は、各登山口とも、頂上で御来光を見る為の登山者で激混みで、中でも須走口と吉田口が8合目で一緒になる吉田口の、夜中1時から4時の御来光渋滞は有名です。

この渋滞がないのが、御殿場口なのです。なぜかというと、御殿場口は標高が低く。登山口の太郎坊は1,600mしかありません。つまり、大きな標高差があるので大変だからです。プリンスルートは途中から御殿場口に入るので、渋滞がなく標高差もないので人気が有るのです。

プリンスルートのデメリットは山小屋の数が少ないことです。この長いルートにたった4軒しかなく、小屋の大きさも小さいので収容客の数も少ないのです。もうひとつ、上の2軒は収容力が小さいので、荷物を置いて行けるのも魅力です。朝食も頂上から下りてきてから食べさせてくれます。したがって、金曜と土曜の夜の泊まりは、いつもいっぱいで予約が取れないことです。現在でも7、8月の土曜日は満員で受け付けてもらえません。つまり、山小屋のキャパシティが少ないので、渋滞がないのです。

<相談25>山梨県 辻 博子さん 55歳 会社員
Q.山で雷が鳴りはじめたら、どうすれば良いでしょうか。以前、身を隠す場所もない山道で怖い思いをしました……。樹林帯、森林限界以上の中腹、山頂付近など、それぞれでの対処法をお願いします。

<小日向のお答え>
A.雷はその周辺で一番高い所に落ちやすいのです。ですから、一番危ないのは山頂、次が尾根上です。

山頂近くは、一番危ないので出来るだけ早く下りて、尾根からも下りましょう。そして、ハイマツの中に入って姿勢を低くしているのが一番安心です。

岩場だったら、大きな岩の傍に寄るのがいいのですが、岩に体を付けてはいけません。電流が岩に沿って流れることが有るからです。

中腹だったら、自分の回りで一番低い場所で、姿勢を出来るだけ低くしているのが一番安全です。

森林帯の中は、雷は木に落ちるので、木に体を付けなければ大丈夫です。

一番安全なのは、小屋の中ですから入れてもらって電流が流れる柱や、壁に体を付けない様にしていましょう。

もし、低い山で送電線が有るところなら、鉄塔の下から少し2~3m離れていれば、雷は落ちません。大きな木の下も同じです。計算法は鉄塔や大きな木のテッペンから45度の内側には落ちません。但し鉄塔や木の幹から2~3m以上離れていないと危険です。電流が流れるからです。

 <相談26>東京都 宮崎 裕美さん 34歳 会社員
 Q.以前からオーバーユースが指摘されているのに、なぜ富士山は入山規制しないのですか?

<小日向のお答え>
A.富士山は大昔(奈良時代)から、宗教登山という形で多くの国民が自由に登っています。また、山全体が国立公園に入っているので、平常時(噴火などがあれば立ち入り禁止は出来ますが)入山を制限しにくいのです。もし、富士山が人の多さで入山制限をすれば、日本の山のほとんどが制限されなくてはならなくなるからです。つまり、高尾山の方が入山者は多いわけですから。高尾山も登れなくなります。また、もしするとしたら、どういう人がダメなのか……。誰が、どのように判断するのでしょうか。まず無理だと思います。


 

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