レポート 2018山の日 今年こそ!「富士山・剣ヶ峰でご来光を」

山女子クラブは2018年も「山の日」を日本の最高峰「富士山」に登って過ごしました。今年の夏は台風がたびたび日本に接近し、気圧配置が不安定で天気が心配されましたが、幸い行動中に雨に降られることはありませんでした。そして適度に曇っていたため猛暑をもたらす強烈な直射日光を受けることもなく熱中症も避けられました。また雲とガスが目まぐるしく押し寄せ、変化する天候状態のわりには展望もよく、実施日の前後にも各地で荒天に見舞われていたことを考えると天候条件としては非常に恵まれた満足すべきものだったことに本当に感謝しています。

〈協賛〉

 

第1日目
新富士駅発8:25登山バス====富士宮口五合目10:30到着
富士宮口五合目11:15出発・・・・六合目宝永山荘11:45着・11:55発・・・・宝永第1火口12:15着・12:25発・・・・宝永山馬ノ背13:30着・13:45発・・・・御殿場口六合目14:30・・・・七合目日の出館跡15:30・・・・砂走館16:10着・16:20発・・・・赤岩八合館17:10着

集合は昨年同様、東海道新幹線・新富士駅。登山バスで登山口となる富士宮口五合目へ向かいます。車窓から見る富士山は山麓部に雲をまといながらもハッキリ姿がわかり、皆さん期待に感動の声が上がります。バスは約2時間で登山口となる富士宮口五合目に到着しました。ここで山女子クラブ岐阜校の皆さんと合流し出発の準備を整えます。つらい登りで瞬時にエネルギーチャージできる「アミノバイタル®︎パーフェクトエネルギー」と疲労した筋肉の回復を助ける「アミノバイタル®︎GOLD」(味の素株式会社さま提供)を全員に配布。また、気圧の変化を計測することでその場の高度がカンタンに表示できるアウトドア腕時計「プロトレック」(カシオ計算機さま提供)を参加者全員にレンタルし身に着けてもらいました。豪華な参加者特典にみなさん大喜び。パッキングと準備運動を済ませたら今日の目的地である赤岩八合館を目指します。

▲富士宮口五合目はプリンスルートの登山口

▲参加者全員に「アミノバイタル®︎」プレゼントと「プロトレック」レンタルで使用体験

▲高度計をスタート地点の標高2400mに合わせて出発

▲厚い雲に覆われていますが、ガスは流れが早く視界は良好でした

レストハウス前から階段を登って登山道が始まります。砂と火山礫の混じった道をゆっくりと。一段登った場所に大きな公衆トイレがありましたが、レストハウスのトイレで済ませてきたのでここはスルー。山頂に対して斜め右に向かって30分足らずの登りで雲海荘と宝永山荘という2軒の山小屋が軒を並べる富士宮口六合目に到着します。ここで小休止をとって、服装を調節したり、水分を摂ったりして、このあとの長時間の歩行に備えます。

休憩しているベンチの前からは、山頂方向へジグザクとつづら折れを繰り返しながらも、まっすぐ上に伸びている富士宮口登山道の急斜面が見えて圧倒されました。一方私たちが進むプリンスルートは、ここから富士宮口登山道と別れ宝永山を目指してトラバース(山頂方向に対して標高を変えず横に移動すること)気味に宝永山の第1火口を横断していきます。この横断ルートによって、混雑の激しい富士宮ルートから空いている御殿場ルートに効率よく移動できるのです。その上、登山口から急激に高度をあげることもなく、高山病予防に不可欠な高度馴化の効果も期待できます。

ふたたび出発するとオンタデの群生する斜面を少しずつ下りながらトラバース。やがて宝永第1火口の縁から底に降りて、休憩用ベンチで休憩をとり行動食を食べました。このあと始まる今日いちばんの「宝永山馬ノ背」への急登の連続を乗り切るためです。砂で埋め尽くされたような火口からの急な登り坂は三歩進んで一、二歩ズリ下がってしまうようなつらい登りですが、根気よくじっくり登るしかありません。

▲砂と火山礫の混じった登山道は富士山が火山である証拠。歩きにくいですが慣れるしかありません

▲五合目から六合目まではゆるやかに斜上する広い道。多くの登山者とすれ違い挨拶の声が飛び交います

▲ものの30分で富士宮口登山道六合目に到着。ここまでは利用者が多い富士宮ルートなので賑やかです

▲山小屋のベンチで小休止。こまめに水分を補給し体温調節のため服装も調整します

▲目の前から直上する富士宮ルート。ジグザグとはいえ首が痛くなるような急斜面に圧倒されます

▲一方ここから別れるプリンスルートは高度をほとんど変えず横に移動

▲溶岩の岩場と砂の斜面に密生したオンタデは夏の富士山らしい景色です

▲富士山特有のアザミで日本の固有種でもある「フジアザミ」に遭遇。花の大きさは日本最大級とか

▲宝永第一火口に向かって、いったん坂を下り高度を下げます

▲宝永第一火口の底で、この後の急登に備えて小休止です。水分や行動食でエネルギーを補給

▲いよいよ本格的な登りの始まりです。宝永山の尾根を目指して足場の悪い道を登ります

▲見上げただけでも気が滅入る宝永山馬ノ背へのルート。崩れやすい足場もグッと我慢

▲まるで砂山を登るよう。アリ地獄のようでプリンスルート最大の試練です

▲先が見える方が良いのか見えない方が良いのか……。自分との闘いが続きます

▲約1時間で宝永火口から馬ノ背に登り着き安堵の笑顔。まだ先は長いですが気力は充分です

急登を登りきったあとは少し傾斜が緩み、御殿場口登山道へさらに斜上するルートを進みます。赤岩八合館がある七合九勺まではここからが本番。最後まで息切れしないようにアミノ酸5000mgと糖質を含んだゼリー状エネルギー食品「アミノバイタル®︎パーフェクトエネルギー」で栄養チャージ。御殿場口登山道の六合目に合流すると、再び傾斜が増す斜面にジグザグにつけられた道を地道に登り、七合目の手前でついに標高3000mに到達しました。あと少しで御殿場ルート上部に3軒しかない山小屋が連続する七合目です。今夜お世話になる赤岩八合館も3軒中最上部にあり名前は八合館ですが、七合九勺に位置します。

赤岩八合館と兄弟山小屋である砂走館(七合五勺)でトイレ休憩させていただき、最後のひと頑張りでようやく今夜の宿である七合九勺の山小屋「赤岩八合館」に到着しました。

登っている途中からかなりガスが湧いてきて下界は見えず雲海に埋め尽くされていましたが、返ってそれが時折美しい夕焼けに染まったり、見事な夕方の影富士を見せてくれました。小屋の周囲で夕食まで時間を過ごして高度に体を慣らします。なんといってもここはもう3,290mもあり、すでに日本で第2位以下の北岳や奥穂高岳より100mも高いのです。

プリンスルートの名前の由来ともなった、皇太子の富士山初登頂からちょうど10年。その時皇太子がお泊まりになったのがこの「赤岩八合館」です。そして皇太子も召し上がった自慢の手作りカレーの夕食を私たちもいただきました。地元の食材を使ってスタッフが丹精込めて煮込んだカレーは疲れた体でも食欲が湧きます。しかもおかわり自由!

夕食後、明朝の山頂アタックのためのミーティングをして早々に寝床に就きました。狭いながらもちゃんと一人に1枚の布団で寝られるのもこの小屋の良いところです。寝床に入った午後8時半頃から降り出した雨が小屋の屋根や壁を打つ音が強くなり心配でしたが、いつの間にか眠りに落ちていました。

▲馬ノ背からさらに宝永山の尾根を登り、途中から右へトラバース。御殿場ルート六合目へ

▲ようやく御殿場口登山道に合流できました。ガスが濃いですが雨の心配はなさそうです

▲ふたたび傾斜の強くなった斜面のジグザグルートを七合目めざしてミッチリ登ります

▲七合目手前でついに標高3,000mに到達! スタート地点からの差はわずか600mです

▲すぐ上に日の出館が見えます。ここからは山小屋が連続


▲赤岩八合館に到着。この小屋のサービスにみなさんとても満足いただけたようです

▲小屋の前で夕暮れのひと時を楽しみながら高度に体を慣らします

▲眼下の雲海に夕暮れの影富士が映し出されました

▲自然が見せる造形美に心が透明になっていきます

▲これほど多様な雲を見る機会も多くはないでしょう

▲東の空も夕陽に染められて時々刻々と変化していきました。明日の好天を祈ってベッドへ

第2日目
起床0:30/赤岩八合館1:25発・・・・御殿場口八合目1:50・・・・御殿場口頂上3:30・・・・富士宮口頂上・浅間大社奥宮3:40から4:00時間調整・・・・剣ヶ峰4:30着、ご来光待ち5:00下山開始・・・・御殿場口頂上5:30・・・・御殿場口八合目6:15・・・・赤岩八合館6:30着 朝食・パッキング後 7:45出発・・・・砂走館8:00・・・・御殿場口七合目砂走り8:15・・・・下り六合砂走りを経て・・・・宝永山馬ノ背8:40・・・・宝永第1火口9:00・・・・富士宮口六合目宝永山荘9:35(約20分休憩)・・・・富士宮口五合目バスターミナル10:15着

他のパーティの起き出す音で目が覚め、予定より30分早く起床、出発準備をして小屋を出ました。空は満天の星。おりしもペルセウス座流星群の活動が活発化しているうえ新月とあってこの週末は流れ星がよく見えました。出発を待っている間にも何度もハッキリとした流れ星を目撃。未明の暗闇をヘッドランプをたよりに歩き始めてからも流れ星や遠くの雲の中で光るカミナリが美しくさえ見えていました。八合目を過ぎたあたりで小休止。出発時には感じなかった寒さが風の影響もあって増してきたので、防寒着を着たり行動食を食べたり。

ここから登山道もさらに急な岩混じりの段差が多くなり注意が必要です。でも緊張感で時間を忘れて黙々と登っていると暗闇の中から白木の鳥居が姿を現し、御殿場口の頂上に着いたことがわかります。休業中の山小屋の影で身を寄せ合って休んでいる登山者がたくさんいます。早くから登って来てご来光までの時間待ちをしているようです。もともと空いている御殿場ルートで時間も比較的早めだったのでここまで全く渋滞などありませんでした。富士宮口の頂上を経て剣ヶ峰に登るのですが、その前に浅間大社奥宮の隣にある環境省の富士山頂公衆トイレでトイレ休憩を済ませ、いよいよ剣ヶ峰を目指します。

岩盤に砂を撒いたような登りにくい斜面を一歩一歩登り、剣ヶ峰の測候所跡に登り着きました。日の出前ですが「日本最高峰」の山頂標石の前で登頂記念の写真を撮り、さらに奥にある本当の最高点「赤いマル」を見ます。ゴツゴツした溶岩の突端のくぼみに小銭がたくさん供えられています。そこにペンキで赤い丸印が描かれているところが本当の最高地点なのだそうです。腕に着けているカシオのアウトドア腕時計「プロトレック」で高度を確認してみると、それぞれ誤差はあるものの、確かにみんな3,700m前後を表示しています。昨日、五合目の出発時に全員2,400mに合わせてから出発したので、ほぼ正確に高度を刻んで来たことがわかります。地図上の3,776mに比べて一様に低く表示されているのは、昨日よりも気圧が上昇しているからで、大きな天気の崩れはないと想像できます。それが未明の星空をもたらしたのかもしれません。ここで3,776mに高度補正しておきました。

さて、いよいよ日の出の時刻かというころ、東の空が積乱雲で厚く覆われ、雲の向こう側で朝日が輝いているようでした。剣ヶ峰でのご来光は諦め下山にかかります。剣ヶ峰の急な斜面を下っているうち、雲が少し薄くなり、太陽の輪郭が見えました。少し山の端から離れてしまいましたが、ご来光には違いありません。みなさんしばし下りの足を止めて見え隠れする太陽に目を向けていらっしゃいました。

▲出発時の小屋前。星空を見ながら出発準備を急ぎます

▲小屋より下の登山道も登ってくる登山者のヘッドランプが光の列となっています

▲めざす山頂方向も満天の星と先行者のヘッドランプが美しい

▲小屋を出発して約30分、暗闇で小休止して防寒対策とエネルギー補給をします

▲環境省の富士山頂公衆トイレ前で。そろそろ東の空が白みはじめました

▲剣ヶ峰に着くと空と山の境目から次第にオレンジ色に染まります。夢中でカメラを向けました

▲山頂標石の前で記念撮影。ご来光の瞬間は太陽が雲の陰だったので日の出前の混まないうちに

▲ご来光の瞬間をみんな心待ちにしています

▲残念なことに太陽は右側の雲の陰から昇っていたのでした

▲剣ヶ峰まで登らず富士浅間大社奥宮のあたりで日の出を迎える人たち。やはり陽が当たっていません

▲剣ヶ峰といえば本当の最高点3,776mの赤いマル

▲みなさんに高度計を見てもらうと確かにアラウンド3,776mを示しています

プロトレック表示結果解説✏️
どのプロトレックも実際の3,776mよりも低い高度を示しています。これは時間の経過による気圧の変化があったから誤差が生じたのです。
赤と白のお二人は五合目を出発してから高度補正をしていなかったのでどちらも3,690m台を示しています。左下の黒は、実は小日向先生。途中で高度補正を加えたので、誤差は少なくなっていますが、いずれも実際より低く高度を表示しました。
標高が高くなるほど気圧は下がります。これを利用したのが気圧高度計。プロトレックもこの気圧センサーを搭載しています。
ところが同じ場所(高度)にいても時間の経過で気圧は変化します。
プロトレックの高度を補正してからの高度の誤差は気圧の変化を表しているので、富士山頂で低い高度を示したということは、時間の経過とともに気圧が上がったことを意味します。
大まかな気象変化の常識として気圧が上がれば天気は上り坂、気圧が下がるのは下り坂の傾向というのがあります。つまり現時点までで気圧が上がったということは天気は上り坂にあったということ。昨日のガスっていた天気から朝には星が見えていたのも上り坂の傾向が現れていたからと考えられるわけです。

▲山頂の標高3,776mに高度補正しました

▲剣ヶ峰からの下りは登りよりもさらにスリップしそうで緊張します

▲剣ヶ峰を下る途中で太陽が雲から姿を見せ始め、恐るおそる坂の東側に寄って止まります

▲確かに日輪が薄くなった雲を透かして浮かび上がっています

▲色は確かにご来光を思わせる朝焼けの色に見えますが、太陽は?

▲みなさん様々な思いを胸に眺めていたことでしょう

▲雲の変化が激しく輪郭が見え隠れするうちに、高さがどんどん上がっていきます

▲陽が出る瞬間ではありませんでしたが、これも立派なご来光だとみんな感動

▲下から見ても剣ヶ峰の斜面上部はかなりの傾斜

▲下山の前に剣ヶ峰をバックに最後の記念写真

▲名残惜しいので御殿場口頂上の下山口で1枚。暗闇にこの鳥居が見えた時は感動でした

赤岩八合館へ戻るための下山ルートは東側斜面なので、モロに朝日を受けて日差しが強く肌が痛いほどでした。予想外の直射日光にみなさん小休止を要求、慌てて日焼け止めを塗る一幕もありました。

赤岩八合館に戻ると早速、朝食です。簡素ではありますが炊きたてのあたたかいご飯と熱いお味噌汁に感激の声が。そのテーブルに差し込む朝日がまた眩しいほどでした。しばらく休憩しながら下山の荷物をパッキングして、いよいよ本当に下山です。もう体も慣れ朝食もしっかり食べたので、元気よく出発できました。下山には主に「大砂走り」と呼ばれる下山専用路を使います。砂が深く堆積した幅4mほどの道をひたすら駆けるように下ります。宝永山馬ノ背からあんなに苦労して登ってきた高さをわずか30分足らずで下ってしまったのには驚きました。頂上を振り返ると雲に覆われてもうその姿を見せることはなさそうでした。馬ノ背からも少し砂は浅いですが、やはり砂走りのように堆積した砂の道を駈け下ります。下山開始からわずか1時間で、もう宝永火口のベンチで休憩しているという、普通の山ではとても考えられないようなペースも富士山ならでは。赤岩八合館を出てから2時間半で富士宮口五合目のバスターミナルに下山しました。

▲頂上からの下山途中で日差しが強くなり、日焼け対策のため立ち休み。頂上はガスってます

▲下界はまるで雲の図鑑のようです

▲3,400m地点で高度計確認。アレ? 高めってことは気圧低下の傾向かも……。天気が崩れるのかな

▲下りは早いもので鳥居から小屋まで1時間で下ってきました。お腹すいた〜

▲朝日が燦々と差し込む小屋で落ち着いて朝食をいただきました

▲おかずはシンプルですが、温かいご飯、味噌汁、お茶をいただけるのが何よりありがたいです

▲朝食を終えたら荷物をまとめて下山の準備。小屋の前は登山道でもあるので大混雑


▲山頂方向もかすかに見通せました。荷揚げのブルドーザーが小屋の側に!

▲七合目からは御殿場ルート名物、砂場のように深い砂の「大砂走り」を豪快に下ります

▲砂ぼこり対策も万全。下り方には普通の山道とは違うコツがあります

▲七合目から1時間半で駈け下り、雲海荘前で20分もの大休止。岐阜の山本先生は念願のラムネを

午前10時過ぎには全員、富士宮口五合目に無事下山しました。バスターミナルで岐阜から車で来た人、帰りに温泉に寄る人、早々に新幹線で帰る人など、それぞれの帰途につきました。帰る車中で富士宮地方は突然の豪雨に見舞われ、下山が遅れていたらずぶ濡れになっていたかもしれません。だから、今回の富士山は実はとても天候に恵まれた登山だったのです。


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