レポート 初心者登山教室 第2回「箱根旧街道」歩き方実地講習

箱根旧街道、湯坂路など先人が歩いてきた旧街道を部分的ながら、5時間しっかり辿ることで「歩き方」のノウハウを学びました。その距離じつに充実の15km!

現代でも箱根駅伝の舞台として有名な難所の「箱根」。しかし、麓の箱根湯本からはその厳しさは伺い知れません。駅伝コースで知られる現在の国道1号線と違って、鎌倉や江戸期の街道はもう少し直線的でした。とりわけ「箱根旧街道」は、徳川家康が江戸への人の出入りを厳しく制限するために、それまで主に使われていた「湯坂路」の明るく広い尾根ルートから、雨や雪が降ると泥道となるほどの悪路だった須雲川の沢筋に、わざわざ付け替えさせたルートでした。

石畳は悪路を水はけ良く改良するための当時最先端の土木技術だったそうです。しかし、急坂が続く畑宿から元箱根までは道は狭く急な坂が曲りくねり、荷車などもってのほか、馬でも越すのは容易ではなかったといいます。もちろん人の足でも困難な山道は、関所を逃れるために山中へ道をそれることなど不可能だったそうです。そんな険しい箱根旧街道の山岳区間を元箱根から畑宿に向かって歩いてみました。

▲いつものように出発前のルート確認。「プロトレック」で高度もチェック

▲続けて参加していただけば自然に使い方も覚えてしまいます

箱根湯本駅からバスで約30分。右に左にカーブする急坂に揺られ、グイグイ高度を稼いで行きます。標高100mだった箱根湯本から比べると、なんとバスを降りた元箱根は標高730mです。これは、標高599mの高尾山に海抜0mから登るより落差があるわけです。ちなみに高尾山口は標高が箱根湯本より高い190m。つまり高尾山にケーブルカーやリフトを使わずに登ったとてしても400mしか登っていないのです。いかに箱根の山が険しい山だったか想像できるでしょう。

スタートの前にいつものように地形図を見ながら、今日歩くルートを確認します。こうして少しずつ地図にも慣れていきます。カシオの高度計付きリストウォッチ「プロトレック」も毎回着けて歩いていただいています。だから実地講習に続けて参加していただけると、この使い方も覚えてしまいます。今回も事前のルート確認で箱根旧街道の険しさを地形図からしっかり理解してからのスタートです。

▲突然始まる石畳の急坂でさっそくトレッキングポールを使います

今回は箱根旧街道を元箱根から箱根湯本方面に下るルートとして歩いたので、登るつらさより、下りで苔が生えた石畳が滑るので注意しなければならないと講師の小日向先生から注意がありました。とはいうものの、はじめは箱根旧街道の最高地点まで上り坂です。短い距離ですが石畳の道が始まってみると、なかなかの急坂でした。早速、みなさん用意したトレッキングポールで、登りの段差をラクに越える使い方を試しながら登りました。せっかく持っていても、効果的な使い方を知らなかったという方は多いものです。はじめはぎこちなかった手と足のタイミングやポールの先を突く位置など少しずつコツを掴んだようです。

▲江戸時代の人々も往き来した街道とはいえ、その石畳の急坂に驚きます

▲石畳は水はけ良く工夫された当時最先端の土木技術だったようです

登りはわずかで終わり、下り坂が始まります。ここも石畳の下り坂でなんだがツルッと滑りそうです。それが次第に傾斜を増し、ますます急な下り坂へと変化します。ここでもトレッキングポールを使い、安全で膝を痛め難い降り方を試しながらゆっくり下ってみます。ようやく傾斜が緩やかになり道路を横切ると、甘酒茶屋も真近です。

甘酒茶屋は江戸時代から400年続く有名な茶店です。しかし、風情ある茅葺き屋根の建物は、これまで何度も地震や火災に見舞われ、流石に当時からの建物ではなく、最近改修されたものです。旧国道沿いでトイレもあるので、ハイカーはもちろん、ドライブの途中や路線バスを途中下車して立ち寄る観光客で賑わっています。私たちも米麹から作るという自然な甘みの甘酒を注文、少しゆっくりと休憩しました。

▲甘酒茶屋手前の旧国道横断ポイントで急傾斜はひと段落です

▲ゆっくり休憩したい絶妙な立地で今も昔も賑わう甘酒茶屋です

疲れが取れたら再び旧街道を進みます。道は畑宿に向かって次第に勾配を強めます。旧国道の道路もつづら折れを繰り返しています。その中を転げ落ちそうな急な階段や傾斜のきつい坂道でどんどん高度を下げていきます。

あんなに急だった坂道が次第に緩やかになると左手に大きな盛り土をした「一里塚」が現れ畑宿に着きました。

▲畑宿への険しい下りの途中ではこんな階段まで現れました


▲わずかに道路を歩く区間も道端の花が疲れを癒してくれます

▲傾斜が緩んで道の先が明るく開けてくると畑宿に到着します

▲寄木細工で知られる畑宿の集落は不審な旅人の監視役を担っていたといわれます

箱根旧街道はここで最大の難所を終えます。私たちは「歩き方」の練習のために、ここから「飛龍の滝」を通る山道を再び登ります。ここではまた「大きな段差を楽に越えて登る歩き方」を丁寧におさらいしました。この様子は動画をLINE公式アカウントで公開しますから要チェックです。

▲箱根旧街道を離れ、飛龍の滝を目指す山道へと向かいます

▲一見ラクそうに見える林道も実はかなりの急勾配。シャガの群生が綺麗です


▲よく整備された登山道ですが石段の段差が高くて大変。ラクな登り方の特訓中

険しい山道を小一時間登って、ようやく「飛竜の滝」に着きました。ちょっと水量が少なめでしたけど、落差の大きな見応えある滝です。あと一息で今日のつらい登りは終わりになります。その前にアミノバイタル®︎パーフェクトエネルギーでエネルギーを補給しました。

▲エネルギー補給もできるゼリー状のアミノバイタルは飲みやすく行動中に最適

▲すでにスタートから4時間弱、まだまだ疲れてなんかいませんのポーズ

石畳の箱根旧街道で思いのほか時間がかかり、一度は諦めかけた飛龍の滝。やっぱり頑張って登って良かったとみなさん楽しげです。ここからは急な登りはほんのわずか。その先はなだらかな植林の尾根を少し登れば湯坂路入り口です。

飛龍の滝を後にして最後の急斜面が終わり、もう午後2時でしたが、なだらかで広い坂の途中で遅い昼食を食べました。アスザックフーズのフリーズドライスープでいつも通り暖かいスープも飲んでいただけました。みなさん疲労の程度もまだ余裕が感じられ、頼もしい限りです。

ひと休みして出発。程なく湯坂路入り口に着きました。ここからバスで下ることもできましたが、最後まで予定通り歩いても1時間程度の遅れで下山可能と判断され、箱根旧街道と旧鎌倉街道の違いも感じていただくために計画通りに歩を進めました。湯坂道は箱根旧街道とは全く違う、明るくて広々した遠足のような山歩きでした。一部急な場所もありますが、石畳の陰鬱なイメージはありません。

▲広々と明るい湯坂路は鎌倉時代の街道

▲ちょっとさびしい千条の滝でした。でも達成感があり、まだまだ笑顔です

わずかな時間で鷹巣山、浅間山と快調に進み、最後の急な斜面を下るとそこが千条の滝でした。ここも水量が少なく水のカーテンのような姿は見られませんでしたが、元気に記念写真を撮って小涌谷駅へと急ぎました。

箱根は今では観光地として簡単に行けそうな印象を持ちますが、決してあなどれない歴とした山だということが実感できた一日でした。頑張って1日じっくり歩き方を練習した成果は、最後まで歩き通せたことと、体を傷めることもなく安全に下山できたことが示しています。今日歩いた距離は15km。山道のこの距離は決して楽ではありません。でも、昔の旅人はこの倍のおよそ30kmを1日で越えていったというから驚きです。それだけに、改めて「箱根八里」が東海道の難所であるということが身を以て理解できた興味深い講習会でした。

▲箱根登山鉄道の親切な女性車掌さんはダイヤが遅れていたのに待ってくれました

 

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